宮崎県森林組合連合会事務所 (改修工事)#206

宮崎県宮崎市のオフィス(改修工事)

地銀本店の第一号店だった建物の改修だった。
銀行の金庫の中に入るのは初めてだった。
建築で杉をアピールするには何が効果的なんだろうかと考えた。
建築の部位としては、屋根、外壁、内壁、床、デッキ、天井、建具、家具ということになるが、手っ取り早いのは外壁だろう。
それでも良かったのかもしれないが、せっかくの機会であるしなんかもっと意外性があることを考えた。
屋根である。現代の建築で屋根に木を使うことはほとんどないからだ。それは耐久性とメンテナンスの問題だったり法的なことだったりする。
しかしこの建物は陸屋根(フラットな屋根)なので通りからは見えないしそもそも屋根というよりデッキということになる。
そうだ大きな庇を設けよう。通りを往来する人を優しく包むような大きく連続する庇。できるだけ雨水を滞留させない急勾配の庇。
ということで、不燃処理を施した杉で葺いた庇が誕生した。下からの見え方にもこだわった。軒天井で隠すのではなく構造体を見せるオブジェのような庇を目指した。
構造事務所のアイデアにより細い材料だけで構築された繊細で豪快な庇となった。
内部には開口率の大きなルーバー上の天井や一部にはアクセントとなる壁全面に細工した杉が飾られている。


宮崎県森林組合連合会事務所
オフィス|宮崎県宮崎市
office|Miyazaki-shi,Miyazaki,JAPAN

設計:有限会社COGITE
構造設計(庇部分):多田脩二構造設計事務所
施工:株式会社下森建装
構造:RC+S造
規模:地上4階建て 
敷地面積:1134.63m2(343.22坪)
延床面積:1324.63m2(400.70坪)
設計期間:2019年10月~2020年4月
施工期間:2020年7月~2021年3月
撮影:COGITE
YN・TN