VOTE #213

宮崎県西諸県郡高原町のカフェ(リノベーション)  

既存鉄骨倉庫を初めて見た瞬間に「あ、これは建築の中にもう一つ建築をつくる感じがいいな」と思った。
つまり既存の外壁や屋根とは接しないような箱をつくるということ。
それから多分すぐ、時間にして1、2分くらいで「あ、テントやな、テントがいいな」と思った。
なぜか?
建築とは雨風を凌ぐという最低限の役割があるわけだが、しかしその役割はもうすでに既存の倉庫が果している。
言ってしまえばもうあとはテーブルと椅子と料理機器があれば事足りるわけだ。
しかしそれでは倉庫の中で食事するだけのことで終わってしまう。それも絶対ダメってことではないが、それじゃあ芸がない。
自然の中に人工物があってこそそれぞれが引き立つのであって、自然だけではただ漠然と自然たらしめるだけ。人工物だけでは味気ない。
既存のどこにでもある倉庫の中にギャップのあるような何かが鎮座してはじめてそれぞれが引き立つのではないか。
それが今回は巨大なテントになったということだ。


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住宅|宮崎県西諸県郡高原町
cafe|Takaharu-cho,Miyazaki,JAPAN

設計:有限会社COGITE
施工:株式会社渡部工務店
構造:木造(既存建物は鉄骨)
規模:地上1階建て 
敷地面積:
延床面積:197.68m2(うち改修面積:86.78m2(26.25坪))
設計期間:2021年4月~2021年8月
施工期間:2021年10月~2021年12月
撮影:studio marsh 沼口紀男
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