建築業界のことで言えばそれが住宅用アルミサッシのカラーバリエーションである

なんかおかしい。
そう、”アルミサッシ”であるのに、アルミの”素地色”が製品としてラインナップされていないのである。

ホワイトもブラックもブラウンもグレーもステンもウッド調もある。でも本来のアルミ色がないのである!!
これはおかしいぞー。
多分20年ほど前は存在した。
というか、アルミ色しかなかったはずである。
味気ないサイディングの外壁に貧弱なアルミ色サッシというコンビネーションが、高度成長期が終わる頃の住宅産業にはなんだかもの寂しかったのだろう。
入母屋作りや切妻屋根の和風住宅には、きっとアルミ色がそぐわなかったのだろう。
ホントは木製サッシでつくりたいのに、耐久性や気密性、大量生産によるコスト安の理由でアルミサッシがチョイスされる。
だが、アルミ色では、味気ない。
そこでメーカーがはりきって生み出したのは、木に近いだろうという色の”ブラウン”色のアルミ。
うー、そのウンコみたいな発想が、玄関がやたら広くで、応接室は”洋間”で、広縁は物置と化して、塀は無いのに門柱門扉だけは必要で、門柱門扉で誂ってあるのに玄関までのアプローチは貧粗で、和室の床柱には金かけて、でも床の間に段ボールが積み重なっていて、南道路の土地を気に入って買って建てた故に居間の窓空けたら目の前はカーポートしかみえなくて切なくて、でもやっぱりこれらが家の定義なオッサン層に大ウケしたかどうかはわからんが、大ブレイクしてしまったのだ。
子供の描く”画用紙はしっこ4分の1太陽”並みの発想である。
その後、ブラック、ホワイトがラインナップされ、やがていつぞやの流行語である”ファジー”な”グレイ”が各メーカーから発売された。
そして近年”ステンカラー”が発売された。
おそらく、”近代的な”という建築が増え、金属色の需要が多くなったのではと思う。
アルミ色はあじけないので、せめて”ステンでぐらいでお願いしますぅ”の腹だろう。

でもなんかおかしい。

“アルミサッシ”なのだから、素直にアルミでいいやん。
そのままだからコストもかかんないのに。なんでそんな遠回りすんねん。
とにかく日本の企業のみなさんは遠回りが好きみたい。
“アレンジ”とは違う。売れてなんぼである。需要に迎合。商品コンセプトは後付け。
まーそんな世界である。

必ずまたアルミ色が発売されるときがくる。

おかしいものは、おかしい。きっと変わる。
そう願いたい。

(2009年8月アルミサッシの素地色はラインナップに復活しています。このコラムを書いた2年後ぐらいにラインナップ化されたということです。おかしいものは変わるんですね。)