丘陵地
Sunset House #202
宮崎県延岡市の住宅
小高い丘の最頂部に位置する敷地に立つ住宅。
西側の景色が抜けていたので西に向いて大きく開くことを決めた。
このとき問題になるのが西日だ。夏は壮大な日射エネルギーを浴びることになる。
このデメリットと良好な眺めを享受できるメリットのどちらを選ぶか。
これは施主に決めてもらう。
写真的に映えるのはサンセットを背景に大きな窓のある建築だが、それをゴリ押しするのは我々建築士のエゴだ。
だから、デメリットもしっかり説明した上で最後は施主に決めてもらう。
施主はとってもとっても悩んだ。周囲の意見も賛否両論だ。
ずっと外を眺めながら生活するわけではない。むしろ眺めながら「いいね」って悦に入る瞬間は1日のうちでわずかかもしれない。
しかし他所でいくら豪華絢爛な住宅を建てたとしても窓に映る優雅なサンセットはお金をいくら積んでも手に入れることはできない。
ここでしか得られない条件なのだ。
そして施主は決めたのだった。(なんか渡辺篤みたいな語り口になってしまった)
入居後のコメント。
やっぱ夏は暑いっす。だから夏は布でずっと閉じます。でも夏が終わるとすごく素敵なんです。サンセットハウスにして良かった。と。
Remisawa house #197
宮崎県宮崎市の住宅(リノベーション)
「ここはパン工房ですか?」
「ここは温泉ですか?」
往来する方に時々そう聞かれたりするそうだ。
煙突のようなへんてこりんな突起物があるからだろう。
これは離れである。3帖ほどの小さな小さな離れである。
用途は限定していない。
某有名ハウスメーカーの住宅のリノベーションだった。
特殊な構造なのでどこでもここでもは壁を撤去することはできない。
注意しながら丁寧に進めた。
特に3部屋続き間を1部屋のLDKに変えた部分については、一般的な在来工法であれば垂れ壁を撤去しそこには梁が見えてくるのだが、
この住宅はそうではない。垂れ壁は構造体の一部であるので、撤去できない。
できないならば、それを逆手に取ったデザインにすればいい。
これがリノベーションの醍醐味だ。
意図していない要素が空間を特別なものに変える。偶然の出会いみたいなことだ。
偶然だからそこに理由もいらない。
南道路である敷地故に、南に掃き出し窓があるが、庭木がなくなったので視線を遮蔽するものがなくなり中が丸見えだ。
丸見えでもいいよっていう住み手ならばいいけど、それはなかなかない。
なので壁を張り巡らせてコートハウス型にした。
既存の1間間口の掃き出しの引き違いのサッシを木製の引き込みの型引き窓に変えた。
引き込まれると、室内からはそこには何もなくなる。内と外が一瞬で繋がり一体空間になるのだ。
入居後、コートのデッキ部分にテントを張って家キャンプをよくしていらっしゃる。
白い壁にプロジェクター投影してアウトドアシネマも楽しんでらっしゃる。