VOTE #213
宮崎県西諸県郡高原町のカフェ(リノベーション)
既存鉄骨倉庫を初めて見た瞬間に「あ、これは建築の中にもう一つ建築をつくる感じがいいな」と思った。
つまり既存の外壁や屋根とは接しないような箱をつくるということ。
それから多分すぐ、時間にして1、2分くらいで「あ、テントやな、テントがいいな」と思った。
なぜか?
建築とは雨風を凌ぐという最低限の役割があるわけだが、しかしその役割はもうすでに既存の倉庫が果している。
言ってしまえばもうあとはテーブルと椅子と料理機器があれば事足りるわけだ。
しかしそれでは倉庫の中で食事するだけのことで終わってしまう。それも絶対ダメってことではないが、それじゃあ芸がない。
自然の中に人工物があってこそそれぞれが引き立つのであって、自然だけではただ漠然と自然たらしめるだけ。人工物だけでは味気ない。
既存のどこにでもある倉庫の中にギャップのあるような何かが鎮座してはじめてそれぞれが引き立つのではないか。
それが今回は巨大なテントになったということだ。