構造現し
N #239
宮崎県宮崎市の住宅+テナント(リノベーション)
3階建てRCのビルを住宅+テナントへのリノベーション。
室内だった部分をピロティ車庫にしたり、インナーテラスにしたりなど、
広めの床面積を必要に応じて“減築”しながらちょうど良い広さに調整していった。
古い建物なので、構造的負担をかけさせないためにも比重が圧倒的に軽い炭化コルクを外壁に貼り付けていった(同時に断熱性も向上する)。
既存建築のカタチ(外観)はどの視点で見てもあまり褒められたものではなかったので、どのような手段でお化粧するのか(もしくはしないのか)悩んだ。
仕上げを2次元の頭で部分ごとに変えてみたり、闇雲にルーバーくっつけたりなどの”頑張り過ぎのデザイン”をしないようにした。
今のありのままのカタチを受け入れて、良い素材で統一させる。
これが一番良いのではなかろうかということで落ち着いた。
最低限のお化粧として不規則に大小様々配置されていた開口を埋めて壁化させ、デザイン整理と室内への光のコンロトールを行なった。
結果、偶然生まれたような巨大彫刻に化けた(と思ってる)。
内部は既存の床組や間仕切り壁や天井などはほぼ全て撤去し、現れた無垢な躯体に直接仕上げ塗りを施した。
全ての部位の色は暗めのグレーで統一。
開口部の先に落ちる陽光がそのグレーの暗さをより際立たせている。
そのバランスがいい。
Double Court House #208
宮崎県日向市の住宅
マテリアルのセレクトが抜群にいいクライアントとの共同作業のような住宅。
設計というよりもオペレーターに近い感じで携わらせてもらった感じ。
ポリカ波板の建具と木製ガラス建具に挟まれた半外部空間は、夏は断熱としてのバッファゾーン、冬は温室のような効果となる。
また、物干しや物置や用途は多岐にわたる便利な空間だ。これらも施主のたっての希望であった。
casa tresisla #222
宮崎県宮崎市の住宅(リノベーション)
既存住宅の主に内装だけのリノベーション。
例に漏れず天井をぶち抜いて切妻屋根の勾配と平行に新たな天井ラインを形成し、梁を現したリビング。
小屋裏空間を日常使いの空間に変え、遊び心を持たせている。
畳の小部屋を中心に回遊できる動線となっている。
suribachi house #211
宮崎県宮崎市の住宅
前面道路から1.5mほど高い位置に敷地が設定された分譲地に立つ住宅。
車は道路と同じ高さに停めて、階段を7,8段ほど上がったところに住宅を建てるという丘陵地によくあるような分譲住宅地である。
所謂「堀車庫」のようなものがあったりする分譲地だ。
今回は、その1.5mの既存地盤を削りとって道路面と同じ高さを敷地の地盤面にした。つまり隣地の地盤よりも1.5m低い位置が敷地地盤面ということである。
で、その高低差は垂直の擁壁ではなく、勾配30°の斜面として処理した。隣地三方に対してそれぞれ斜面となっているわけだ。つまりすり鉢状の底面に建てっているという佇まい。
なぜそんな面倒臭いことをしたか?
車椅子のスロープの問題である。当たり前に既存地盤に設計をすると道路面から住居内床まで高低差が2mほどになるので、スロープで処理しようとすると長さが25mほど必要となり現実的ではないからだ。
このマイナスの問題をすり鉢状にしたその斜面をリビングらからの借景として取り込むなどして、独特の庭が出来ることでプラスに変えてみたということ。
隣地より低い故に隣家の窓からの見下げが懸念されたので、急勾配の深い軒でそれらをうまくかわすようにしている。
この軒(屋根)は厚み15cmのCLTで構成され外壁面から勾配長さで約2mほど突き出ている。そのCLTがそのまま2階の天井の仕上げでもある。
House M #216
宮崎県宮崎市の住宅
1階はガレージと玄関と多目的スペースであり、居住スペースは全て2階に配置し、全周をオーバーハングさせたピロティ建築ともいえる住宅。
オーバーハングさせた理由は1階と2階のボリュームの差でありそれを利用したデザインであるといえる。頭でっかちのピロティ建築は文句なしに格好いいのだ。
しかし格好いいだけではない。このボリュームの差で生まれた空間には色んなメリットがある。
移動の際に濡れないとか、雨が当たらないから壁が汚れにくいとか、室外機が長持するとか、取ってつけたような庇が必要ないとか、、、
そしてこの建築のデザインのポイントでもある2階部分を覆うルーバー。ルーバーを設けた理由は2つ。
1つは、外部からの目線のカット。
もう1つは2階の窓達をそれぞれの場所にそれぞれのサイズでバラバラに配置してもルーバーがあることでファサードのデザインをコントロールできるから。
もし、ルーバーがない前提で窓を考えるとなると、これが非常に難しい。というのは、今回の屋根の形状は中央を谷とした勾配屋根としているのだが、これはそれぞれの部屋に適した天井高さから導き出したカタチである。
つまり高さが必要なとこは高く、その逆は低くというように。部屋の並びと生活動線とそれぞれの高さと屋根の形状を同時に考えての最適解だと思っている。
もし、屋根を水平にして最大公約数的に高さを決めたならば無駄なボリュームだらけになる。しかし屋根が水平だと窓の配置はデザイン的に楽である。
どちらでいくかを考えた結果M字の屋根としたわけだ。House Mの誕生である。
Elongated house #200
宮崎県日向市の住宅
長さ30m、幅3.5mの列車のように長い住宅。
理由はひとつ。敷地が町屋のように奥に長かったから。
生活エリアは2階、1階は玄関と秘密基地とお風呂。
2階に生活エリアを配置したのは、南側の建物の影を免れるようにするため。
建物配置も動線も選択肢が限らていたのでプランはすんなり決まった。
問題は予算との格闘だった。
徹底的に削ぎ落とした。
床材も構造ベニア1枚、壁はプラスターボード貼りっぱなし仕上げ。設備も最低限のスペックだ。
でも他の住宅にはない贅沢なものもある。
玄関がいきなり吹き抜けだ。そしてそこにはピアノが鎮座する。
吹抜けの玄関ホールにピアノが置いてある家だなんて言葉尻だけ聞くとなんてブルジョワジー。
そして1階の半分以上を占めるのは秘密基地だ。梁が頭に当たるか当たらないかギリギリの高さと窓のない薄暗いその空間は地下シェルターのよう。まさに秘密基地だ。
削ぎ落としても削ぎ落としまくったとしても、他の家にはない特別なものがある住宅はとっても楽しいのだ。
Sunset House #202
宮崎県延岡市の住宅
小高い丘の最頂部に位置する敷地に立つ住宅。
西側の景色が抜けていたので西に向いて大きく開くことを決めた。
このとき問題になるのが西日だ。夏は壮大な日射エネルギーを浴びることになる。
このデメリットと良好な眺めを享受できるメリットのどちらを選ぶか。
これは施主に決めてもらう。
写真的に映えるのはサンセットを背景に大きな窓のある建築だが、それをゴリ押しするのは我々建築士のエゴだ。
だから、デメリットもしっかり説明した上で最後は施主に決めてもらう。
施主はとってもとっても悩んだ。周囲の意見も賛否両論だ。
ずっと外を眺めながら生活するわけではない。むしろ眺めながら「いいね」って悦に入る瞬間は1日のうちでわずかかもしれない。
しかし他所でいくら豪華絢爛な住宅を建てたとしても窓に映る優雅なサンセットはお金をいくら積んでも手に入れることはできない。
ここでしか得られない条件なのだ。
そして施主は決めたのだった。(なんか渡辺篤みたいな語り口になってしまった)
入居後のコメント。
やっぱ夏は暑いっす。だから夏は布でずっと閉じます。でも夏が終わるとすごく素敵なんです。サンセットハウスにして良かった。と。
Double Gable House #187
宮崎県宮崎市の住宅
Gabelとは切妻屋根のこと。
つまり2つの切妻屋根が織りなす家である。
水平の梁を無くして連続する登り梁だけで空間を形成できるように構造事務所に解法してもらった大空間は圧巻だ。
屋根の形状がダイレクトに内部に入り込む。気持ちがいい。
HANNAH(ギャラリーアンドカフェ)#185
宮崎県えびの市のギャラリーアンドカフェ「HANNAH」
築89年の馬小屋をリノベーション。
既存の小屋のコンディションは良くなかった。屋根からの経年の漏水による各所の劣化やそもそも馬小屋であるので吹きっ晒し故の各所の劣化などキリがなかった。
この小屋をカフェにするにはまずは室内化することが必須であり、それにはまずは漏水を塞がなければいけない。
屋根には時を経て風格を成した瓦が葺かれており、壁や室内はモダンに変化させてもこの瓦は生かしたい、古いものと新しいものの融合で新築にはない魅力ある建築に化けると考えたからだ。
これには施主も同意見だった。
しかし、瓦の下地となるルーフィング(防水紙)や一部の野地板の劣化が激しくこれを更新しない限り瓦は残せない。
となると瓦を一旦下ろして下地を改修した後に改めて瓦を葺くという工程が必要だ。
これには予算が及ばなかった。
苦渋の選択で瓦は撤去し新たな素材で覆うこととした。
何で覆うのか、外壁との相性、景色に溶け込むには何が正解か?
いや、溶け込むことが正解か?反発でもいいのではないか?時がたてばそれも景色の一部になる。
思いっきり現代的なフォルムに舵を切ることにした。
軒を落とし、外壁と屋根をシームレスに連続させ新築では考えないような不思議な形態にさせてそれをガルバニウムで覆い尽くした。
内部は木組みを現して真っ白に塗り込んだ。
一部の石ブロック積みはインテリアの役目を担ってくれた。
ここからまた何年何十年と生き続けてほしい。
CandY 透明体育館きらきら/国際こども・せいねん劇場みやざき #179
宮崎県宮崎市の体育館
園児のための体育館でもあり、コンテンポラリーダンスカンパニーんまつーポスの活動拠点としての劇場でもある建築。
1Fにはホールの他に小さなギャラリーも併設、2Fは事務所や準備室などが配置される。
剥き出しの構造体と黄色いフィルムが貼られたガラスから妖艶な光が降り注ぐホールは、シックなダークグレーの床と真っ黒な天井で構成され、
園児のための空間とはおよそかけ離れた空気感が漂う。このかけ離れた感じが、んまつーポスという集団にはちょうど良いのだ。
parallelogram house #168
大分県大分市の住宅
玄関のドアを開けるとそこは中庭なのである。
まるで宮殿のような住宅である。
しかしこの宮殿は1ルームの住宅なのだ。
一人暮らしなのか?否、4人ぐらし家族だ。
プライバシーはロールスクリーンで軽やかに仕切る。これで十分なのだ。
Hajiki house #155
宮崎県宮崎市の住宅
中学生の頃からの友人の家だ。
映画監督になるのが夢だった彼の家には映像スタジオが併設される。
中学生の頃に友人らでショートフィルムを作ろうとジャッキーチェンのようなアクション映像を撮った記憶がある。4人で。
映像は残っているのだろうか。
玄関を入ると小さな和室とすぐ傍にキッチン、ダイニング、リビングと続きその先に中庭があり、その壁の向こうがスタジオだ。
ダイニングは希望により座のスタイルだ。
2階には個室が並ぶ。
特筆すべきは、玄関、リビングの上部には吹抜けがあり、そこには樹脂のグレーチングが敷かれてある。
そのグレーチングは2階では縁側のような床の役割を担っている。
これは、通りから1階室内の様子を見えないようにするために全て壁としたため、光は2階である上部から取り込むための手段である。
グレーチングの隙間から柔らかな光が降り注ぐ。
npalazzo #148
宮崎県日南市の住宅
暑いのは平気です。だから居室は全て南向き、そして全てガラスがいいです。
というリクエストだった。
敷地は広いのだが南北に長く東西はそこまでではなかったので、どうすれば南面の表面積を確保することができるかを考えた。
居室はリビングを合わせて5つある。
当たり前に並べると敷地からはみ出してしまうので、個室だけは2層にした。それぞれの部屋にロフトを設けて1部屋に要する南面間口を縮めたということだ。
南側の廊下からそれぞれ入る。
出入口は間口いっぱいの両開きドアがある、普段は開けっぱなしにして、廊下も部屋の一部として取り込むイメージ。
屋根を支える梁はせいの大きな垂木を端から端までリズミカルに連続させて意匠に役立たせている。
luzsol #050
宮崎県宮崎市の住宅
4LDKという間取りでありながら廊下ゼロなので同じ延床面積の住宅と比べると各部屋の面積が広い。
廊下に取られる分を各部屋に割り当ててるからである。
別に廊下が嫌いなわけではないが、いやむしろ好きな方だが、コストを落とす一つの方法として床面積を抑えるというのは常套手段であり、各部屋の要望された広さを実現させために廊下を削る案を考えまくった結果のプランである。
正方形のアウトラインの中に大きな正方形と小さな正方形と2つの長方形を上下階壁ラインを綺麗に揃えて納めてる。
大きな正方形はLDKであり小さな正方形は階段室であり2つの長方形はその他の部屋だ。
大きな正方形と小さな正方形が頂点で繋がる部分には、象徴的なデザインの開口を設けている。
その開口の壁厚が大きいのは、正方形の頂点の重なりの分である。
この頂点の重なりがこの廊下ゼロ住宅の平面の最大のギミックであったりする。