スペシャル
Spiral house #225
宮崎県宮崎市の住宅
インテリアのイメージと動線が結構ガチガチのリクエストだったので、密にやり取りをし積み重ねて積み重ねて構築された住宅。
敷地両隣は住宅がきっちり建っているので、開くべきは庭側。庭には高木の既存樹が数本あったので、それは残したままとした。
この樹木を軸に配置を決めた。軸というか拠り所。拠り所の景色があるとリビングからの視線の向き、つまり窓のおよその配置を決める指標になるということ。
指標があるとそこを基本にその他の部屋の配置を考えるときに立ち返れるということ。配置の考え方がブレずに済むということ。
例えば目の前に綺麗な海があると、やっぱそこは海が見えるように配置を考えるよねってこと。
もし東西南北全周とも同じ景色や条件だった場合、拠り所がなく配置を決めるのが困難になる。迷子になる。
施主の強烈でガチガチなリクエストも思考の拠り所ができるので良いのである。
Double Court House #208
宮崎県日向市の住宅
マテリアルのセレクトが抜群にいいクライアントとの共同作業のような住宅。
設計というよりもオペレーターに近い感じで携わらせてもらった感じ。
ポリカ波板の建具と木製ガラス建具に挟まれた半外部空間は、夏は断熱としてのバッファゾーン、冬は温室のような効果となる。
また、物干しや物置や用途は多岐にわたる便利な空間だ。これらも施主のたっての希望であった。
suribachi house #211
宮崎県宮崎市の住宅
前面道路から1.5mほど高い位置に敷地が設定された分譲地に立つ住宅。
車は道路と同じ高さに停めて、階段を7,8段ほど上がったところに住宅を建てるという丘陵地によくあるような分譲住宅地である。
所謂「堀車庫」のようなものがあったりする分譲地だ。
今回は、その1.5mの既存地盤を削りとって道路面と同じ高さを敷地の地盤面にした。つまり隣地の地盤よりも1.5m低い位置が敷地地盤面ということである。
で、その高低差は垂直の擁壁ではなく、勾配30°の斜面として処理した。隣地三方に対してそれぞれ斜面となっているわけだ。つまりすり鉢状の底面に建てっているという佇まい。
なぜそんな面倒臭いことをしたか?
車椅子のスロープの問題である。当たり前に既存地盤に設計をすると道路面から住居内床まで高低差が2mほどになるので、スロープで処理しようとすると長さが25mほど必要となり現実的ではないからだ。
このマイナスの問題をすり鉢状にしたその斜面をリビングらからの借景として取り込むなどして、独特の庭が出来ることでプラスに変えてみたということ。
隣地より低い故に隣家の窓からの見下げが懸念されたので、急勾配の深い軒でそれらをうまくかわすようにしている。
この軒(屋根)は厚み15cmのCLTで構成され外壁面から勾配長さで約2mほど突き出ている。そのCLTがそのまま2階の天井の仕上げでもある。
VOTE #213
宮崎県西諸県郡高原町のカフェ(リノベーション)
既存鉄骨倉庫を初めて見た瞬間に「あ、これは建築の中にもう一つ建築をつくる感じがいいな」と思った。
つまり既存の外壁や屋根とは接しないような箱をつくるということ。
それから多分すぐ、時間にして1、2分くらいで「あ、テントやな、テントがいいな」と思った。
なぜか?
建築とは雨風を凌ぐという最低限の役割があるわけだが、しかしその役割はもうすでに既存の倉庫が果している。
言ってしまえばもうあとはテーブルと椅子と料理機器があれば事足りるわけだ。
しかしそれでは倉庫の中で食事するだけのことで終わってしまう。それも絶対ダメってことではないが、それじゃあ芸がない。
自然の中に人工物があってこそそれぞれが引き立つのであって、自然だけではただ漠然と自然たらしめるだけ。人工物だけでは味気ない。
既存のどこにでもある倉庫の中にギャップのあるような何かが鎮座してはじめてそれぞれが引き立つのではないか。
それが今回は巨大なテントになったということだ。
Remisawa house #197
宮崎県宮崎市の住宅(リノベーション)
「ここはパン工房ですか?」
「ここは温泉ですか?」
往来する方に時々そう聞かれたりするそうだ。
煙突のようなへんてこりんな突起物があるからだろう。
これは離れである。3帖ほどの小さな小さな離れである。
用途は限定していない。
某有名ハウスメーカーの住宅のリノベーションだった。
特殊な構造なのでどこでもここでもは壁を撤去することはできない。
注意しながら丁寧に進めた。
特に3部屋続き間を1部屋のLDKに変えた部分については、一般的な在来工法であれば垂れ壁を撤去しそこには梁が見えてくるのだが、
この住宅はそうではない。垂れ壁は構造体の一部であるので、撤去できない。
できないならば、それを逆手に取ったデザインにすればいい。
これがリノベーションの醍醐味だ。
意図していない要素が空間を特別なものに変える。偶然の出会いみたいなことだ。
偶然だからそこに理由もいらない。
南道路である敷地故に、南に掃き出し窓があるが、庭木がなくなったので視線を遮蔽するものがなくなり中が丸見えだ。
丸見えでもいいよっていう住み手ならばいいけど、それはなかなかない。
なので壁を張り巡らせてコートハウス型にした。
既存の1間間口の掃き出しの引き違いのサッシを木製の引き込みの型引き窓に変えた。
引き込まれると、室内からはそこには何もなくなる。内と外が一瞬で繋がり一体空間になるのだ。
入居後、コートのデッキ部分にテントを張って家キャンプをよくしていらっしゃる。
白い壁にプロジェクター投影してアウトドアシネマも楽しんでらっしゃる。
through house #193
宮崎県日南市の住宅
コンクリート土間直押さえの床と地続きの庭の先には、抜けた景色が広がる。
窓あけてヨイショって地面に足をおろすような段差があるのが木造住宅の基本的な断面構成であるが、
この住宅は床組がないので、地面との差はほぼない。そのまま走り抜けれるのだ。
そしてその中と外を仕切る窓は大開口の木製サッシ、ヘーべシーべを採用している。
値の張るサッシだが、ここぞという場所にはもってこいのサッシである。
2階の個室群と通路側もいづれの窓も大屋根の一部をカットした奥にあるようなデザイン的操作を行なっているので、
外から見ると何階建かわからない。ま、別に何階建かわからないような住宅を目指して設計したわけではなく、
1つの塊のように単純でシンプルな形態にすることが施主と共有していた方向性だったので、それを実現できたと思っている。
HANNAH(ギャラリーアンドカフェ)#185
宮崎県えびの市のギャラリーアンドカフェ「HANNAH」
築89年の馬小屋をリノベーション。
既存の小屋のコンディションは良くなかった。屋根からの経年の漏水による各所の劣化やそもそも馬小屋であるので吹きっ晒し故の各所の劣化などキリがなかった。
この小屋をカフェにするにはまずは室内化することが必須であり、それにはまずは漏水を塞がなければいけない。
屋根には時を経て風格を成した瓦が葺かれており、壁や室内はモダンに変化させてもこの瓦は生かしたい、古いものと新しいものの融合で新築にはない魅力ある建築に化けると考えたからだ。
これには施主も同意見だった。
しかし、瓦の下地となるルーフィング(防水紙)や一部の野地板の劣化が激しくこれを更新しない限り瓦は残せない。
となると瓦を一旦下ろして下地を改修した後に改めて瓦を葺くという工程が必要だ。
これには予算が及ばなかった。
苦渋の選択で瓦は撤去し新たな素材で覆うこととした。
何で覆うのか、外壁との相性、景色に溶け込むには何が正解か?
いや、溶け込むことが正解か?反発でもいいのではないか?時がたてばそれも景色の一部になる。
思いっきり現代的なフォルムに舵を切ることにした。
軒を落とし、外壁と屋根をシームレスに連続させ新築では考えないような不思議な形態にさせてそれをガルバニウムで覆い尽くした。
内部は木組みを現して真っ白に塗り込んだ。
一部の石ブロック積みはインテリアの役目を担ってくれた。
ここからまた何年何十年と生き続けてほしい。
luzsol #050
宮崎県宮崎市の住宅
4LDKという間取りでありながら廊下ゼロなので同じ延床面積の住宅と比べると各部屋の面積が広い。
廊下に取られる分を各部屋に割り当ててるからである。
別に廊下が嫌いなわけではないが、いやむしろ好きな方だが、コストを落とす一つの方法として床面積を抑えるというのは常套手段であり、各部屋の要望された広さを実現させために廊下を削る案を考えまくった結果のプランである。
正方形のアウトラインの中に大きな正方形と小さな正方形と2つの長方形を上下階壁ラインを綺麗に揃えて納めてる。
大きな正方形はLDKであり小さな正方形は階段室であり2つの長方形はその他の部屋だ。
大きな正方形と小さな正方形が頂点で繋がる部分には、象徴的なデザインの開口を設けている。
その開口の壁厚が大きいのは、正方形の頂点の重なりの分である。
この頂点の重なりがこの廊下ゼロ住宅の平面の最大のギミックであったりする。
AYNIP #098
宮崎県宮崎市の住宅
この住宅の土地決定の最大の決めては、敷地の南東はす向かいに大きな公園があったことが全てと言っても過言ではありません。
プランはこの公園を最大限活用できるように、南東方向に大きく振って配置しています。
公園に対して大きな開口部を設け、公園をまるで庭のように取り込んでます。
施主のビートルズ好きにちなんで、名曲「All You Need Is Love(愛こそすべて)」を
若干乱暴ではありますが「All You Need Is Park(公園こそすべて)」に読み替えてその頭文字の羅列がこの住宅の名前になっています。
今回施主家族はご主人を中心に数週間の有給休暇を使って室内の壁すべてのしっくいを塗り上げました。
愛情のこもった住宅です。