HOUSE BAND
宮崎県日南市の住宅
2024/10/9 第1案
宮崎県日南市の住宅
2024/10/9 第1案
宮崎県宮崎市の住宅
土地を初めて見た時の感覚は「とにかく南に開くべきだ」と思った。
それは、南の方向には視界を遮るものがなく抜けが良好だったから。
しかし敷地はとにかく広い。
全室南向きのプランでスタディしてみたが、どうも敷地の残り方というか余白がただの残地、言葉はちょっとアレだが余りカスみたいな感じになったので
これはちょっと良くないないなってことで再考した。
三角形にたどり着いた経緯を言語化するのは難しいけど、端的にいうと「閃いた」である。
なぜ閃いたのかはわからない。
そういうのは一瞬なので、脳みその引き出しの奥にある集積したデータから抽出したのか、敷地の広さから逆算して「あ、いけるかも」となったのか、そんなところだ。
中庭型という計画手法の中で四角でも丸でもなく三角に落ち着いたのは、床面積からの逆算とパズルのような割り付けからピタリとハマったから。
アイレベル(人間の日常の視線)で見てもこの建築が三角形であることはわからないのだけど、中庭があることでそれは視覚化される。
視覚化されることが別段いいとは思わないけど、なんか住宅が正三角形ってテンション上がるよねってのはあると思う。
あと特筆すべきは外壁で使用した炭化コルク。
20年以上くらい前に何かの書籍で炭化コルクの建築を見たことがあり、その時も使ってみたいと思っていたが入手ルートに辿り着けず断念した。
そして今回時を経て入手ルートを見つけることが出来、実現に至った。
炭化コルクのいいところは検索してみるとたくさん出てくるので皆さんどうぞ。
宮崎県日向市の住宅
マテリアルのセレクトが抜群にいいクライアントとの共同作業のような住宅。
設計というよりもオペレーターに近い感じで携わらせてもらった感じ。
ポリカ波板の建具と木製ガラス建具に挟まれた半外部空間は、夏は断熱としてのバッファゾーン、冬は温室のような効果となる。
また、物干しや物置や用途は多岐にわたる便利な空間だ。これらも施主のたっての希望であった。
鹿児島県肝属郡東串良町の住宅
初めてお伺いした施主宅にはフランクロイドライトのタリアセンのフロアスタンドが置いてあった。
「私、ライトが大好きなの」
そこから家づくりがスタートした。
とはいえライトの建築なんて安易に模倣すれば大怪我すること間違いない。
陳腐なエセ建築になることは目に見えている。
だから形態を寄せるのではなく思想を意識しながら設計したつもりだ。
田園風景にのびやかな大屋根の組み合わせには嘘がないので、迷わずそのようにした。
その大屋根には天然スレートを合わせてみた。天然でも合成でもそこは関係ないのだけど、問題は選択する素材の理由が明確なのか否か。
住み手の人間性や環境と符合させるべく天然とした。これはライトのそれにも通ずるものがあると思ったからだ。
宮崎県宮崎市の住宅(リノベーション)
「ここはパン工房ですか?」
「ここは温泉ですか?」
往来する方に時々そう聞かれたりするそうだ。
煙突のようなへんてこりんな突起物があるからだろう。
これは離れである。3帖ほどの小さな小さな離れである。
用途は限定していない。
某有名ハウスメーカーの住宅のリノベーションだった。
特殊な構造なのでどこでもここでもは壁を撤去することはできない。
注意しながら丁寧に進めた。
特に3部屋続き間を1部屋のLDKに変えた部分については、一般的な在来工法であれば垂れ壁を撤去しそこには梁が見えてくるのだが、
この住宅はそうではない。垂れ壁は構造体の一部であるので、撤去できない。
できないならば、それを逆手に取ったデザインにすればいい。
これがリノベーションの醍醐味だ。
意図していない要素が空間を特別なものに変える。偶然の出会いみたいなことだ。
偶然だからそこに理由もいらない。
南道路である敷地故に、南に掃き出し窓があるが、庭木がなくなったので視線を遮蔽するものがなくなり中が丸見えだ。
丸見えでもいいよっていう住み手ならばいいけど、それはなかなかない。
なので壁を張り巡らせてコートハウス型にした。
既存の1間間口の掃き出しの引き違いのサッシを木製の引き込みの型引き窓に変えた。
引き込まれると、室内からはそこには何もなくなる。内と外が一瞬で繋がり一体空間になるのだ。
入居後、コートのデッキ部分にテントを張って家キャンプをよくしていらっしゃる。
白い壁にプロジェクター投影してアウトドアシネマも楽しんでらっしゃる。
宮崎県宮崎市の住宅
Gabelとは切妻屋根のこと。
つまり2つの切妻屋根が織りなす家である。
水平の梁を無くして連続する登り梁だけで空間を形成できるように構造事務所に解法してもらった大空間は圧巻だ。
屋根の形状がダイレクトに内部に入り込む。気持ちがいい。
宮崎県日南市の住宅
コンクリート土間直押さえの床と地続きの庭の先には、抜けた景色が広がる。
窓あけてヨイショって地面に足をおろすような段差があるのが木造住宅の基本的な断面構成であるが、
この住宅は床組がないので、地面との差はほぼない。そのまま走り抜けれるのだ。
そしてその中と外を仕切る窓は大開口の木製サッシ、ヘーべシーべを採用している。
値の張るサッシだが、ここぞという場所にはもってこいのサッシである。
2階の個室群と通路側もいづれの窓も大屋根の一部をカットした奥にあるようなデザイン的操作を行なっているので、
外から見ると何階建かわからない。ま、別に何階建かわからないような住宅を目指して設計したわけではなく、
1つの塊のように単純でシンプルな形態にすることが施主と共有していた方向性だったので、それを実現できたと思っている。
宮崎県えびの市のギャラリーアンドカフェ「HANNAH」
築89年の馬小屋をリノベーション。
既存の小屋のコンディションは良くなかった。屋根からの経年の漏水による各所の劣化やそもそも馬小屋であるので吹きっ晒し故の各所の劣化などキリがなかった。
この小屋をカフェにするにはまずは室内化することが必須であり、それにはまずは漏水を塞がなければいけない。
屋根には時を経て風格を成した瓦が葺かれており、壁や室内はモダンに変化させてもこの瓦は生かしたい、古いものと新しいものの融合で新築にはない魅力ある建築に化けると考えたからだ。
これには施主も同意見だった。
しかし、瓦の下地となるルーフィング(防水紙)や一部の野地板の劣化が激しくこれを更新しない限り瓦は残せない。
となると瓦を一旦下ろして下地を改修した後に改めて瓦を葺くという工程が必要だ。
これには予算が及ばなかった。
苦渋の選択で瓦は撤去し新たな素材で覆うこととした。
何で覆うのか、外壁との相性、景色に溶け込むには何が正解か?
いや、溶け込むことが正解か?反発でもいいのではないか?時がたてばそれも景色の一部になる。
思いっきり現代的なフォルムに舵を切ることにした。
軒を落とし、外壁と屋根をシームレスに連続させ新築では考えないような不思議な形態にさせてそれをガルバニウムで覆い尽くした。
内部は木組みを現して真っ白に塗り込んだ。
一部の石ブロック積みはインテリアの役目を担ってくれた。
ここからまた何年何十年と生き続けてほしい。
宮崎県都城市の住宅
外部のカタチがそのまま内部のカタチとして現れる、もしくはその逆も然り、そういう建築が好きだ。
今回はそれがわかりやすいプランだ。
ガレージの曲線の窪みがそのまま室内でも曲線として現れる。
どっちを先に決めたかは覚えていないが、諸々の設計条件がその線を生み出したのだと思う。
屋根を外して上からみるとUもしくはJの字型に近い平面形状の家である。
玄関から曲線壁沿いに進むとリビング→子供室→主寝室→書斎→洗面→脱衣風呂→そして終点トイレとなっている。
床も壁もラワンベニアの染色仕上げで統一、塗装のクオリティが非常に良かった。
リビングはオリジナルの大きな木製ガラス引き戸だ。
キッチンはコンクリート。
素材そのものの魅力をふんだんに使った内装とした。
宮崎県宮崎市の住宅(増改築)
LDKをもっと広くしたいというリクエストによる増築計画。
住宅地の街区の先端に位置し、庭からの景色が良かった。
その景色の方向に軸を振って増築することにした。
外観には手をつけなくとも、その増築部分が全体の一部のように佇むように考えた。
内部はあえて増築部分を誇張するかのように仕上げを切り替えた。
床、壁、天井とも既存部分と変えて、パッチワークのような空間にした。
宮崎県日南市の住宅
暑いのは平気です。だから居室は全て南向き、そして全てガラスがいいです。
というリクエストだった。
敷地は広いのだが南北に長く東西はそこまでではなかったので、どうすれば南面の表面積を確保することができるかを考えた。
居室はリビングを合わせて5つある。
当たり前に並べると敷地からはみ出してしまうので、個室だけは2層にした。それぞれの部屋にロフトを設けて1部屋に要する南面間口を縮めたということだ。
南側の廊下からそれぞれ入る。
出入口は間口いっぱいの両開きドアがある、普段は開けっぱなしにして、廊下も部屋の一部として取り込むイメージ。
屋根を支える梁はせいの大きな垂木を端から端までリズミカルに連続させて意匠に役立たせている。
宮崎県宮崎市の住宅
吹抜けのリビングと全面ガラス張りは強い要望の一つだったのでしっかり回答できた。
ガラスを支持する柱の間隔はロール網戸の製作範囲から決定している。
吹抜けに面する2階部分の廊下のようなホールのようなスペースは、一般的には手すりがあるだけなのだろうけど、
それでは空調された空気が逃げるのでルーバーで抵抗を高めて、気配は繋げつつ空気は程よく遮断するよみたいなことで
おさまった。
2階は個室群がある。
宮崎県宮崎市の住宅+店舗
「直線的」「箱」「深い軒」これらが要望されていた主なキーワードだった。
隣接する森を取り込むようなコートハウス型の住宅。
壁のラインは境界線から相対する境界線まで一直線で繋がっており、かつほぼ全ての壁は角度が
振られているので直角や平行がほとんどないような構成となっている。
なぜそんな面倒くさいことになったのか?必要な広さや奥行きを確保していって
繋げたり離したり積み上げたり削ったり揃えたり通したりした結果である。
変形四角形のコート(庭)を変形四角形の部屋部屋が深い軒を介してパズルのように取り囲んでいる。
切り取られた空からは森の鳥の囀りが聞える。
宮崎県宮崎市の住宅
8m四方の中庭を有するコートハウス型住宅である。
中庭がきれいな8m四方の正方形となったのは、東西は敷地間口からのセットバックからの引き算、南北は後述するタンブラーの本数から割り出された廊下の長さからである。
この2つを基本にコートハウス然としたレイアウトになるように全体を構築していった。
最初のヒアリングで「コートハウス型、リビングに面したロフト、この2つは必須で!」と伝えられたそのあとに、ご主人から「それと・・・約300本ほどのタンブラーを飾る棚があれば・・・」と申し訳なさそうに伝えられたのだ。
タンブラーの収集は完全にご主人だけの趣味のようなのでこのタンブラーの飾り棚が家族みんなのためのエリア、つまりリビングにしゃしゃり出てくるわけにはいかないだろうなというのはなんとなく感じた。
かといって開かずの間に押し込めればそれは飾り棚とは言わなくなる。主張しすぎず奥に埋もれすぎずのその場所は、リビング群と個室群をつなぐ廊下の壁面しかないと思ったのでそうした。
朝起きてリビングに向かうとき、用を足すとき、入浴するとき、寝床に向かうとき、必ずタンブラー達の視線を感じるのだ。
この住宅は迷わず「タンブラーハウス」と名付けさせて頂いた。この先もずっと絶え間なく家族の愛が注がれる大きな器であり続けてほしいという意味も込めて。
宮崎県宮崎市の住宅
4LDKという間取りでありながら廊下ゼロなので同じ延床面積の住宅と比べると各部屋の面積が広い。
廊下に取られる分を各部屋に割り当ててるからである。
別に廊下が嫌いなわけではないが、いやむしろ好きな方だが、コストを落とす一つの方法として床面積を抑えるというのは常套手段であり、各部屋の要望された広さを実現させために廊下を削る案を考えまくった結果のプランである。
正方形のアウトラインの中に大きな正方形と小さな正方形と2つの長方形を上下階壁ラインを綺麗に揃えて納めてる。
大きな正方形はLDKであり小さな正方形は階段室であり2つの長方形はその他の部屋だ。
大きな正方形と小さな正方形が頂点で繋がる部分には、象徴的なデザインの開口を設けている。
その開口の壁厚が大きいのは、正方形の頂点の重なりの分である。
この頂点の重なりがこの廊下ゼロ住宅の平面の最大のギミックであったりする。